不動産バブル論は日本銀行の内部でも再燃していた。06年1月20日、日銀の福井俊彦総裁は「土地から期待できる先行きの収益について評価が楽観的になりすぎていないか心配する声が聞こえる」と述べた。さらに06年4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、公示地価(06年1月―日時点)の調査地点の変化率をそれぞれの地価で加重平均した結果、「(地価は)上昇に転じてきている」との判断を示した。もっとも、日銀のバブル論の根拠は薄かった。
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公示地価は調安地点を選ぶ段階で人口や経済力が加味されており、それをもう一度、加重平均する操作をすると地価の正確な評価にはならない。展望リポートは、値上がり方向にバイアスのかかった、ゆがんだ評価が上昇に転じたことを地価上昇ととらえ、幹部が望んでいた量的金融緩和の解除を援護射撃しようとするものだった。実際の地価は、その時点ではまだ水面下だった。日銀は06年3月に量的金融緩和政策を解除した。日銀は解除の条件として消費者物価(エネルギー・生鮮除く)が安定的にO%を上回ることをあげていた04年8月に消費者物価指数の改定が予定され、改定後の新しい指指針では消費者物価はなお水面下だった。しかし、一部の審議委員などが消費者物価の基準改定の影響は小さいと強く主張し、デフレのさなかで引き締めに動いた。