せっかく建てた家が断熱の方法を変える、そして断熱材の両側に通気層を設けることの意味について、Mさんは図を書きながらさらに詳しく説明してくれた。「内側のインナーサーキットと呼ばれる通気層を上手に働かせてやると、肌と衣服の間に風を流してやることができるのです。その風の流れ具合は、体感ハウスで見ることができますからこれからご案内しましょう。屋根の下はどこも快適という環境に住んでいる人は、元気、さわやか、気持ちがいいというような表現をしますね。小屋裏も床下も収納に使えるので喜ばれています。また暮らすのが楽になったと言われる方が多いですよ」Mさんは、喜ばれていることがうれしくてたまらないといった風情で話した。「温度差は、五〇歳を過ぎて血管系に問題がある人にとっては、命を縮める原因になります。五度前後は、不快と感じる範囲ですが、一〇度前後ともなると命が心配になります。もしも断熱のやり方をこれまでと同じにして、窓にアルミサッシを使った家を建てたら、そういう危険的な家になってしまいます」母の相槌を打つ声が、だんだん小さくなっていた。「自分の家がその通りなのです。主人が心配になりました」母の心の中からそのような声が聞こえてきそうだった。「せっかく建てた家が原因で命を縮めてしまうなんて……」そこまで言って、Mさんは母が重いため息をついたので口を閉じた。そして少し調子を変えて、私に向かって話を続けた。「気候特性に適していて、実に合理的な断熱の方法なのですが、まだ知っている人が極めて少ないのが残念でなりません。外断熱にして、さらに二重の通気層を付加する工法、それはソーラーサーキットと言って、カネカという会社が特許を取ったものなのですが、ソーラーサーキットと出会ってから、私はその工法による家造りしかしない、いや、それ以外の工法では造ってはいけないと確信したのです。最近、健康住宅というような言葉が盛んに用いられていますが、健康であるためには、そこに住む人は勿論ですが、家そのものも健康であることが大事なのです」
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