「性能評価」によって新しい技術や工法が発展する

2011.09.30

昭和六十一(一九八六)年に三階建ての住宅を販売するにあたって、木質構造では初めてとなる実大振動台実験を行いました。これは地震のような振動実験と異なりから建物を押して壊す実験です。結果は壁倍率でいえば一〇倍以上の強さを発揮しました。それまでの評価は「壁倍率5」が最大でしたから、木質パネル接着工法はそれまでの評価の倍以上強いことかわかったのです。ところが、ここで次の問題が発生しました。従来の考え方ではいくら計算しても接合部の強さが説明できないのです。理由は簡単で、接着による接合が認知されていなかったからです。そのとき、一人の先生の言葉に救われました。「接着しているなら、それを計算に入れてはどうか」と接着を認めるべきだとする発言をしてくれたのです。木質パネル接着工法は、芯材に合板を貼るときやパネル同士を接着するときに接着剤と釘を用いています。しかし、昭和三十七年の申請以来、委員会の先生方からは、接着材の十分な管理ができない可能性があるから「計算に入れることはできない」と判断されてきたのです。それまで何度か「評価の対象とならないなら接着をやめようか」と思ったこともありましたが、実際には強さに効果が発揮されているわけですから思いとどまったのです。このように新しい技術や工法にはその時々の評価基準と性能の壁に阻まれて発展できなかった歴史もあるのです。従来の「仕様規定」だけではなく、「性能評価」でも建物を評価することが可能になったことによって、既存の尺度だけで評価するのでなく、新しい素材や技術を性能によって幅広く評価することが可能となりました。

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